あの大物ストリートアーティストBanksy(バンクシー)の活動が最近活発になってきているようです。先日もバンクシーが手がけるプロジェクト「The Walled Off Hotel」にショップスペースが誕生したという記事をお伝えしたばかりでした。

そして、武器の売買や戦争に反対するメッセージ性の強い新作を「Art The Arms Fair」と呼ばれるフェアで公開するという発表がありました。
人々が知らない兵器売買の事実
今回バンクシーが作品を展示する「Art The Arms Fair」は、純粋なアートフェアというよりも、ロンドンで開かれる世界最大の武器売買のイベント「DSEI (Defence & Security Equipment International)」に抗議するために誕生しました。
DSEIでは、業者とバイヤーが武器を売買できるだけでなく、そのイベントを通してネットワークを広げる手段としても利用されています。アルジェリア、カタール、サウジアラビア、バーレーン、パキスタンなどの国々を含む約1,600もの軍事用の製品を扱う企業が参加し、武器などを売り込みます。
二年に一度開催されており、2017年は9月12〜15日の4日間行われます。しかし、ロンドンという世界的な大都市で開催されていながら、この事実はあまり公にされていないため、DSEIの存在を知る人はほとんどいませんでした。
Art The Arms Fairの主催者は、世の中にその事実を知ってもらうために、アートを通して武器の売買に反対し、人々に訴えかけようという活動です。「目には目を」ではなく、戦争に対して芸術で抗議するという発想はイギリスらしいですね。
そこに手を貸したのが覆面芸術家バンクシーでした。今回公開される新作のタイトルは「Civilian Drone Strike」。
子供が描いたようなタッチの少女と犬、そして彼らの家であろう建物を軍事用のドローンが爆撃している様子は、皮肉とブラックユーモアが込めらています。一見落書きのようなキャラクターとリアルに描かれた軍事用ドローン、爆発のイラストの間には明らかな隔たりがあり、私たちが知る世界と隠された世界にあるギャップを表しているかのようです。それでもその隠された世界はリアルに存在しているんだというバンクシーの強いメッセージを感じられるような気がします。
フェア主催者であるSam Waltonもこの新作について「DSEIのようなすべての武器売買イベントに抗議する非常にパワフルな声明だ」と述べています。
実際こうしてバンクシーが作品を発表することで、CNNやBBCなどの海外の大手メディアでも取り上げられ、DSEI及びArt The Arms Fairの存在は世界中に知れ渡りました。隠されてきた、もしくはほとんどの人が知らなかった事実がこうして公になったのは、彼だからこそできることではないでしょうか。芸術テロリストとも呼ばれるバンクシーですが、アートを通して世界を変えることができる数少ないアーティストではないでしょうか。
バンクシーという人物についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

コメント