ストリートアーティスト vol. 10「BEN EINE(ベン・アイン)」とは

今回ご紹介するのは、イギリス出身のストリートアーティスト「Ben Eine(ベン・アイン)」です。数々の有名ストリートアーティストを輩出するイギリスの中でも、バンクシー、ディーフェイス、ニック・ウォーカー同様に知名度の高いアーティストの一人。
ベン・アインのミューラル(壁画)は、人物画などのペインティングではなく、アルファベットや言葉など「文字」を使って描かれるのが特徴で、カラフルに装飾されたオリジナルのフォントはストリートでも存在感抜群です。

BEN EINE作品の特徴

ベン・アインはデザインされた独自のタイポグラフィをストリートアートに取り入れたパイオニア的存在です。彼の作品は、Shoreditch(ショーディッチ)、Brick Lane(ブリックレーン)、Broadway Market(ブロードウェイ・マーケット)などロンドンのイーストエリアでしばしば見かけることができます。

ショップのシャッターや壁面に描かれたアルファベットの作品は、そのエリアを訪れたことがある人ならきっと見かけたことがあるはずです。

シャッターならではの横のラインをうまく利用したデザイン。シャッターに描かれていることから「Shutter Font」と呼ばれています。

他にもスタイリッシュなデザインのフォントなど、巧みに文字を操り街中に作品を残していきます。一見おしゃれな広告のようにも見えるグラフィカルなデザインは、ロンドンの街並みにうまく溶け込んでいます。

言葉を使うと言っても、単語や短い文章のみとシンプルなのが特徴です。使う言葉を簡潔にすることで、作品の華やかさやデザインがより引き立ちます。

また、一見アルファベットが並べられただけのようにも見える文字の配列も、実は一つの単語になっています。文字が並んでいると、人間はその言葉を無意識に頭の中で読んでしまいますが、わざと途中で文字を改行することにより、何が描かれているのか人の意識をより作品に向けることができます。そんな計算されたトリックも彼の作品には隠れているのではないでしょうか。

BEN EINEのプロフィール

本名は「Ben Flynn(ベン・フリン)」。1970年、ロンドン生まれ。
前述にもあるように、イーストロンドンエリアを中心に活動してきたベン・アインですが、今のようにコマーシャルグラフィティとして作品の制作を依頼される以前は、アンダーグラウンドシーンで活躍していました。その頃からアーティストとしての評価、知名度は非常に高かったようです。

しかし、ファッションデザイナーNokiに影響を受け、より商業的な方法を模索するようになります。そして、ショーディッチのLeonard Streetにある「The Bar Dragon」の上階でワークショップを始めました。

そこで彼は「VANDALS」というトレーナーのデザインなどを手がけていましたが、次第にシルクスクリーンプリントについて探求するようになり、「Pictures On Walls(POW)」のプリンターとして働き始めるようになります。POWで働いていた際は、Banksy(バンクシー)のプリントなども手がけています。
その後、ソロでの活動を始めるため、ベン・アインは2008年にPOWを離れます。

その頃から、「EINE」と印刷されたステッカーをイーストロンドンのエリアに貼り付けていくようになります。また、バンクシーとも深い繋がりがあったベン・アインは、彼を通じてより商業的なグラフィティの世界に足を踏み入れることができました。

その商業的な活動を通して、「shutter」「circus」「neon」「elton」「vandalism」「wendy」といったレタリングのスタイルを生み出していきます。

2008年には、ロンドンの「Time Out」マガジンが選出した新進気鋭のストリートアーティスト6人のうちの一人に選ばれます。

そして、2010年には当時のイギリスの首相デイヴィット・キャメロンから、「Twenty First Century City(21世紀の都市)」という作品が、アメリカのオバマ大統領に公式にプレゼントされます。これにより、一般の人々にもベン・アインの名が知られるようになります。

さらに2011年にサンフランシスコのWhite Walls galleryで開催されたソロショー「GREATEST」では、展示が一般公開される前に作品が完売するほどの人気に。

そして同年にロサンゼルスのMOCA美術館で開催された世界最大のストリートアート展「Art in the Streets」に参加するなど、アーティストとしての地位を確立していきます。

また、過去にはピカソなどの大物アーティストも参加したことのあるアムネスティ・インターナショナル(国際人権救援機構)のポスターのオファーを受けて、50周年記念のデザインを手がけるなど、様々な活動を行っています。

同じくイギリス出身のストリートアーティスト「D*Face(ディーフェイス)」とも親交があるベン・アインは、ディーフェイスがオーナーを務めるギャラリー「Stolen Space Gallery」でのエキシビジョンやコラボレーションワークの制作なども積極的に行なっています。

現在はイギリス南部のヘースティングにあるスタジオでキャンバスやシルクスクリーンプリント作品の制作を精力的に続けています。また、世界各地の街に足を運び、カラフルなフォントで描かれるミューラルを数多く残しています。

文字というシンプルな素材だからこそ、多くの人々に受け入れられるとともに、彼のセンスや個性がより引き立つのかもしれませんね。これからもベン・アインの操る色彩豊かなフォント作品が楽しめる場所が増えたら素敵ですね。

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