ストリートアーティスト vol.6「DOLK(ドルク)」とは

今回ご紹介するのは、ノルウェー出身のストリートアーティスト「DOLK(ドルク)」です。世界各国のストリートアートファンに絶大な人気を誇るドルクは、プリントを販売すれば数分で完売するほど。また、北欧の大自然の中に突如現れるミューラル(壁画)は圧倒的な存在感を持っています。そんなノルウェー出身のストリートアーティストの第一人者と言えるドルクについてお伝えしていきます。

ブラックユーモアがチクりと効いたクールなDOLK作品

ドルクは「BANKSY(バンクシー)」から大きな影響を受けており、そのことについては本人も語っています。ステンシルを使った技法のため、たまにバンクシーと間違えられることもありますが、ドルク独特のイメージと色使い、そしてメッセージは似て非なるものと言って良いでしょう。

さらに、大自然の中に描かれるミューラルはノルウェー出身のストリートアーティストならでは。厳しくも美しい自然と描かれる作品とのギャップは、街中のものとは一味違った面白さがあります。

そして、彼の名が知られるきっかけとなったのが、チェ・ゲバラをモチーフにした作品でした。「Che」と名付けられたこのシリーズは、ステンシルやシルクスクリーン作品以外にも、有名なストリートアートサイト「Pictures on Walls」でもポストカードとして販売されました。

こちらは「ZOOICIDE」という作品。動物園の「zoo」と自殺を意味する英語「suicide」を掛けています。社会に対する批判をポップ&ダークなイメージを使って表現するのが彼の真骨頂。少しトゲトゲしく、ユーモアが効いた作風はとてもクールで多くのストリートアートファンを虜にしています。

その人気は、エディション(制作されたプリントの数)が300枚前後のシルクスクリーン作品が、一瞬にしてソールドアウトになる程。ネットオークションなどでも年々価格は上昇し、手に入れるのも次第に難しくなってきています。

過去には日本も訪れており、東京や大阪でミューラルを残していきました。熱狂的なドルクファンは日本にも数多くいます。

また、この時は東日本大震災の後だったということもあり、原発事故の影響で当時まだ立ち入り禁止だった福島のあるエリアにミューラルを残しています。日本、そして世界に向けて悲劇あるいは警鐘にも似たメッセージを送っています。

DOLKのプロフィール

DOLK(ドルク)とはノルウェー語で「ダガー(短剣)」の意味だそう。ヨーロッパのストリートアート大国とも言えるノルウェーの中でも、最も有名なアーティストがこのドルクです。

1979年、ドルクはノルウェーのヴェルゲンにて生を授けます。ヴェルゲンにある学校でメカニックを専攻した後、オーストラリアのメルボルンにてデザインを学びます。
彼がステンシルアートを始めたのは2003年から。前述にもあるように、イギリス人ストリートアーティスト「バンクシー」の活動に触発されたことがきっかけでした。その頃からヴェルゲンの街中にミューラルを描くようになります。そのミューラルの一部はまだ残っており、今でも見ることができます。

その後、オスロなどノルウェーの各都市やコペンハーゲン、バルセロナ、ベルリン、ロンドン、リスボンなどヨーロッパの都市を中心に、世界各地にミューラルを残してきました。
さらに2006年以降はミューラルだけでなく、ギャラリーでのエキシビジョンも積極的に開催するようになっていきます。

2008年には同じくノルウェー出身のアーティスト「Pøbel」と企画した「Ghetto Spedalsk」というプロジェクトにて、ノルウェーのLofoten(ロフォテーン)という街の誰も住んでいない廃屋に20個ものミューラル作品を描きました。

2010年には、ノルウェーにある「Halden prison」という刑務所に3つのミューラルを残しています。イギリスの新聞社Daily Mailはこれらの作品について「100万ポンドの価値のあるミューラルが描かれた、世界で一番高価な刑務所だ」と述べています。

年を重ねるごとにドルクの知名度は上がっていきます。ついにはノルウェー国家からも制作を依頼され、Pøbelと共にオスロの駅に作品を描いています。

2011年に自身のシルクスクリーン作品を販売しているウェブサイト「Handmadeposters」でリリースした「Mashroom Girl」はエディション250という数にも関わらず、わずか40分で完売。

さらに、2012年にリリースした「TOY」と、

Winner」というシルクスクリーン作品(共にエディション250)はわずか2分で完売。瞬く間に超売れっ子アーティストとなりました。

その後も出す作品は数分でソールドアウトとなり、ストリートアーティストとして不動の地位を築いていきます。

また、2001年からノルウェーで開催されているストリートアートフェスティバル「Nuart」にも定期的に参加しています。(最近は多忙のためか、あまり参加していないようですが…)
このNuartが開催される「Stavanger」はそれほど大きくない街ですが、期間中は数々の大物アーティストのミューラルを楽しむことができ、ファンにはたまらないイベントになっています。今では世界でも最大級のストリートアートの祭典になりましたが、これもドルクを筆頭としたノルウェー出身アーティストの貢献が大きいのではないでしょうか。

近年、ドルクの作風はこれまでとは全く違うタイプへと変わってきました。「あれ、どうしたの?」と思われる方も多いかと。個人的には昔のイメージが好みですが、アーティストとして常に新しいものを生み出し続けていきたいのかもしれません。ドルクがどのようなアーティストへと変わっていくのか、今後の展開に注目です。

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