ストリートアーティスト vol.5「KAWS(カウズ)」とは

今回ご紹介するのはアメリカ出身のストリートアーティスト「KAWS(カウズ)」です。最近では2016年にユニクロとコラボしデザインを手がけたUTが記憶に新しく、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
日本とも関わりがとても深いカウズですが、ファッションやプロダクトなどのデザイナーのイメージが強い方もいるかもしれません。しかし、そんな彼も元々はストリートで活躍していたれっきとしたストリートアーティスト。今回はそんなカウズについてお伝えしていきたいと思います。

KAWS作品の特徴

彼の作品の特徴は何と言っても目のバッテンマーク。どんな作品やプロダクトにもこのバッテンマークがついているとカウズの作品とすぐに分かります。ポップなキャラクターが印象的で、ペインティングやスカルプチャーなどあらゆる場面に登場します。

特にシンプソンズ、スマーフ、スポンジボブなどのアニメキャラクターなどをモチーフにした作品が多く、タイヤ会社ミシュランでお馴染みのミシュランマン風なキャラクターも今でも根強い人気があります。

こちらはシンプソンズならぬ「KIMPSONS」に…

こちらはスマーフならぬ「KURF」や…

スポンジボブ風のキャラクターに…

こちらは「CHUM」というミシュランマン風のキャラクターまで。

そして、彼のキャラクターの中で最も人気があるのが「Companion」。ミッキーマウスのような顔と手、胴体をしているどこか毒っ気がありながら、どこか愛らしくもあるキャラクターは見ているうちに愛着が湧いていくる不思議な魅力があります。このCompanionはフィギュアだけでなく、巨大なスカルプチャー作品として世界中に展示されてきました。

ペインティング、スカルプチャー、シルクスクリーンプリント、商業デザインやプロダクトまで、様々な表現方法を持つカウズですが、作品の背景にはこれまで手がけてきたポップでストリートなテイストが脈々と受け継がれています。さらに近年では、これまで生み出してきたキャラクターたちが独自に変化した、抽象的なペインティグヘと進化を遂げています。

アーティストとしての巧みな戦略

本名は「Brian Donnelly(ブライアン・ドネリー)」。1974年生まれ、ニュージャージー出身のアーティストで、現在はニューヨークのブルックリンに拠点を置いて活動しています。
1996年までニューヨークの美術学校「School of Visual Arts」でイラストレーションを学び、なんと卒業後はフリーランスのアニメーターとしてディズニーのスタジオで働き、アニメシリーズの「101匹わんちゃん」の制作にも携わっています。

カウズがグラフィティアーティストとして活動を始めたのは故郷のニュージャージを出てニューヨークに移り住んだ1990年代頃から。バス停などのビルボード(屋外の広告)に手を加え、自分のアートワークを描いていくというその手法は、初めは誰の目にも止まりませんでした。しかし、その活動を数ヶ月続けるうちに多くの人から注目を集め、カウズの知名度は瞬く間に上がっていきます。

ここで驚くべきは彼の綿密に練り上げられた計画性です。1990年代からストリートで活動を始めたということは、ディズニーでアニメーターとして働いている時期と被ります。彼の作品には、どこかで見たようなアニメのキャラクターが登場しますが、著作権を侵害しないギリギリのラインで描いています。これはディズニーで仕事をしている際、アニメーションに関する著作権を学ぶことで身に付けたテクニックでもあります。彼はアニメーターとしてではなく、アーティストとして活動していくためにディズニーで働き、技術やノウハウを学びました。

さらに実際にビルボードの設置・取替をする会社に勤めることで、誰にも怪しまれることなく自分の作品を街中に残していくことができました。アーティストとして活躍するために、どうやって自分をプロモーションしていくかを逆算して、計画を立てていたかというのがよく分かります。Shepard Fairey(シェパード・フェアリー)もそうでしたが、アメリカ人アーティストはセルフプロモーションが非常に上手ですね。

日本のトイ・アパレルブランドとのコラボレーション

彼の名が日本で知れ渡るきっかけにもなったのが、日本のアパレルやトイブランドとコラボし、カウズがデザイン&プロデュースしたリミテッドエディション(数量限定)のフィギュアです。

その第一弾が、1999年に日本のアパレルブランド「Bounty Hunter(バウンティーハンター)」とコラボしたもので、世界のトイコレクターの間で瞬く間に人気が爆発。
さらに、「A Bathing Ape(アベイシングエイプ)」など、当時大流行していた裏原宿アパレルブランドとのコラボにより、若者の間でも人気に火が付きました。

そして、2006年にはBE@RBRICK(ベアブリック)でお馴染みのホビー会社「Medicom Toy(メディコムトイ)」が手がけるファッション&トイブランド「Original Fake(オリジナルフェイク)」ではフィギュアだけでなく、洋服のデザインなども手がけます。

映画「スターウォーズ」とオリジナルフェイクのコラボフィギュアも。


オリジナルフェイクは2013年にお店をクローズするまで、ストリートファッションシーンを牽引し続けました。ファッションの流行は時代とともにあっという間に移り変わっていくのが世の常。特にストリートファッションの需要は残念ながら少しづつ減っていきました。
しかし、カウズのフィギュアに関しては、年々その価値は上がっています。限定生産というアイテムであったのと、カウズのアーティストとしての知名度の上昇という点が重なり、トイコレクターだけでなくアートコレクターも彼のフィギュアを求めるようになったからです。
ただ、現在これほどの人気となっているのも、日本だからこそできたプロダクトのクオリティの高さではないでしょうか。

そして、2016年にはアベイシングエイプを手掛けるNIGOがクリエイティブディレクターを務めた、ユニクロとのコラボレーション商品「UT KAWS」によって再びファッション業界でも注目を浴びます。これまでもユニクロはアンディー・ウォーホルやバスキアなどコラボTシャツを販売してきましたが、今回のカウズの起用は、ストリートファッションの復活というよりも、アーティスト「KAWS」としての評価が大きいのではないかと思います。
ちなみにアメリカやヨーロッパでは発売後、即品切れとなるほどの人気だったようです。これによって一般の人々にも彼の名は広がりました。

コピー商品にご用心

特に香港や中国本土を含むアジアでのカウズ人気は凄まじく、オークションでも軒並み高値で取引されています。その反面コピー商品も大量に市場に出回っており、ヤフオクなどのネットオークションで購入する際は注意が必要です。

見た目も本物とほとんど大差がなく、ブランドの刻印などもされかなり精巧に出来ているので、見分けるのはなかなか困難です。あまりにもお値打ちな価格で出品されていたり、箱が無い物はもちろん怪しいですが、箱が付いているニセモノもあるのでさらに厄介。そんな時は箱にホログラムが貼られているか確認しましょう。ホログラムが貼られているものは本物の可能性が高いです…がこれもイタチゴッコなので、そのうちニセモノにも貼られてしまうかもしれません。
やはり転売目的で安く購入するにはリスクがありますし、Sotheby’sなどのオークションで購入するのも値が張ります。美味しい話はなかなか転がっていませんね。それでも欲しい場合は、信頼できる人やお店から購入しましょう。

大物ミュージシャンや企業とのコラボレーションワーク

その他にもカウズは「Kanye West(カニエ・ウエスト)」や「Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)」などの大物ミュージシャンとも親交が深く、コラボレーションワークも数多く手掛けています。

こちらはカニエ・ウエストのアルバム「808s & Heartbreak」のジャケットデザイン。

こちらは古くからの親友であるファレル・ウィリアムスとファッションブランド「コム・デ・ギャルソン」とコラボして制作した香水「GIRL」。ファレルがリリースしたソロアルバムと同じタイトルでもあります。

他にも、「Hennessy(ヘネシー)」とコラボした限定ボトルのデザインもしています。
彼の作風は人物写真やプロダクトと相性抜群なので、いろんなものとコラボレーションしやすいのも大きな強みですね。企業やミュージシャンからオファーが来るのも納得です。

これからの活躍

彼はすでに「Galerie Perrotin」などのビックギャラリーでのエキシビジョンをはじめ、「High Museum of Art(アトランタ)」「The Modern Art Museum of Fort Worth(テキサス)」「 The Rosenblum Collection(パリ)」「Yorkshire Sculpture Park(イギリス)」などなど、多くの美術館やギャラリーで展覧会を開催しており、その数は挙げればキリがないほど。アーティストとして非常に高く評価されています。

日本では村上隆氏がオーナーを務める「Kaikai Kiki Gallery」にて展示をしたことも。

今やカウズはストリートアート、ファッションというジャンルを越え、現代アーティストとして大きな成功を収めています。ここまでのストーリーをすでにディズニー時代に描いていたかはわかりませんが、バンクシーに次いで、最も成功したストリート出身のアーティストの一人ということは間違いないですね。これからさらにビックなアーティストになっていくのか、要注目です。

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