ストリートアーティスト vol.2「SHEPARD FAIREY(シェパード・フェアリー)」とは

今回はアメリカを代表する大物ストリートアーティスト「OBEY(オベイ)」こと「Shepard Faiey(シェパード・フェアリー)」をご紹介します。前回の記事ではバンクシーについてお伝えしましたが、西の横綱(イギリス)がバンクシーだとしたら、東の横綱(アメリカ)は間違いなくシェパード・フェアリーでしょう。

このブログではヨーロッパのストリートアートシーンを中心に紹介してきましたが、彼もヨーロッパで展覧会の開催やミューラル(壁画)を数多く残すなど、ストリートアートを語る上で切っても切り離せない存在。
もし名前は知らなくても、どこかで一度は彼の作品を目にしたことがあるかもしれません。

SHEPARD FAIREYって何者?

アメリカ出身のストリートアーティスト「Shepard Fairey(シェパード・フェアリー)」は「OBEY(オベイ)」という名前でもよく知られています。巨人プロレスラー「アンドレ・ザ・ジャイアント」をモチーフにしたキャラクターは彼のアイコンとなっており、様々な作品に登場します。
作風の特徴は何と言ってもプロパガンダポスターのようなメッセージ性の強いイメージ。そして、赤と黒の力強いコントラストはとても印象に残ります。

また、「The Rolling Stones」のポスターや周年記念作品の制作など、ミュージシャンとの交流も深く、自身もDJとして活動することも。展覧会のレセプションでは彼がDJとなって会場を盛り上げるなど、音楽好きとしても知られています。

SHEPARD FAIREYのプロフィール

本名はFrank Shepard Fairey(フランク・シェパード・フェアリー)、1970年2月15日生まれ。アメリカ、サウスカロライナ州のチャールストン出身です。バンクシーと違い生年月日等は公表しています。
ストリートアートというジャンルから想像すると意外かもしれませんが、父親は医者、母親は不動産業と裕福な家庭で育っています。1980年代中ごろから、スケートボードやTシャツにドローイングするなどアートに興味を持つようになります。

そして1989年、アート学校に通う傍ら、彼のアイコンキャラクターとも言えるフランス人プロレスラー「Andre the giant(アンドレ・ザ・ジャイアント)」をモチーフにしたステッカーを作成し、街のあらゆる場所に貼り付けていきました。


それまではタギングやステンシルという方法で自分の名前を街中に残して行くというスタイルが主流でしたが、後に「Obey Ginat」と呼ばれるステッカーを貼るキャンペーンは、ストリートアーティストたちに大きな影響を与え、現在ではミューラル(壁画)同様、アーティストが足跡を残す方法として主流となっています。

アート学校卒業後は小さな印刷会社をスタートし、シルクスクリーンなどの印刷ノウハウを学びながら、自分自身の作品にもその技術を活かし、数多くのプリントやポスター作品を手掛けていきます。そしてこの頃からアイコンである「OBEY」のキャラクターをTシャツにプリントするなど、ファッションにもジャンルを広げていきます。さらに、2001年に「OBEY Clothing」というファッションブランドを立ち上げます。

日本でもこの「OBEY」という服を着ている人を見たことがあるのではないでしょうか?

さらにデザイナーとしての一面も持つシェパードは、2003年に奥さんのアマンダとStudio Number Oneというデザイン会社も立ち上げます。そこでは「 The Black Eyed Peas」や「 Led Zeppelin」などの超大物ミュージシャンのアートワークを手がけるなど、その才能は多岐に渡ります。

もやはストリートアーティストの域を越えたマルチクリエイターと言っても良いでしょうか。ヨーロッパのアーティストとの大きな違いはここかもしれません。作品やミューラル製作を中心に活動する彼らと違い、スケボーやファッションなどストリートカルチャーがアートと深く関わるアメリカならではのスタイルかもしれません。プロモーション含め、とても商売上手ですね。

オバマ前大統領の選挙ポスター「HOPE」で一躍有名に

ストリートアーティストの中ではすでに名前が広がっていたシェパードですが、ある出来事をきっかけに彼の名前は全世界中に広まることになります。
それが2008年のアメリカ大統領選挙の際に使用されたオバマ前大統領のポスター「HOPE」キャンペーンでした。

オバマ氏のポートレイトに大きく描かれたHOPEという文字がとても印象的なこのデザイン、シェパードはポスターを50万部、ステッカーを30万部作成し選挙中に配りました。また、ポスターの売り上げは全て支援金として寄付。初めはオバマ支持を表明するために自主的に製作したものでしたが、後にオバマ陣営から公式にポスターとして使用したいという依頼が来て、オフィシャルイメージとして採用されます。さらに彼の活動に対し、オバマ前大統領から感謝状が送られます。

そして、「Time Magazine」でもシェパードのアートワークが表紙を飾ったり、2009年には「HOPE」がナショナルポートレートギャラリーのパーマネントコレクションになるなど、アーティストとしての地位を確立していきます。

さらに2009年の夏、 Institute of Contemporary Art(ボストン現代美術館)にて「Supply & Demand」という250点以上の作品を展示した大規模な回顧展も開催。ストリートアーティストとして美術館で展覧会を開くのはシェパードが世界で初めてとなりました。しかし、レセプション当日、ポスターを無断でボストン市内に貼っていたとして彼は逮捕されてしまいます。これまで前科があるだけに、ここぞとばかりに警察も対応したのでしょう。
良くも悪くも、この時期の彼はアメリカ中から大きな注目を集めることとなりました。

ドナルド・トランプ大統領に対するキャンペーン

先日のドナルド・ドランプ大統領の就任式では、前回のオバマ前大統領をモチーフにした「HOPE」のようなキャンペーンは行いませんでした。トランプが大統領になることによって、「恐怖と悲しみの潮流がアメリカに混乱を引き起こす」とシェパードは警鐘を鳴らしています。アメリカでの大々的なデモはまだ記憶に新しいですね。

この「HOPE」に変わる「WE ARE THE PEOPLE」という新たなキャンペーンは、トランプによって差別の対象となったイスラム教徒の女性、アフリカ系アメリカ人の子供、ヒスパニックの女性などの人々にフォーカスを当てています。「人々の尊厳を守り、助け合い、恐怖を乗り越える」など、シェパードは前回の大統領選とは明らかに違ったメッセージを送っています。

政治に関心が強いアメリカでは、アーティストもこうして自分の思いを積極的に発信していきます。

ストリートアーティストとしての活動

シェパードはイギリス人アーティストD*Faceとも交流が深いことでも知られています。

D*Faceがオーナーを務めるロンドンにあるStolen Space Gallery主催の展示に参加したり、一緒に巨大ミューラルを残すなど、ヨーロッパを含め世界中で精力的に活動しています。

他にも、へネシーの限定ボトルデザインを手掛けるなど、世界中からオファーが殺到する引っ張りだこの人気アーティスト。

それでも根幹にあるのはやはりストリートアーティストとしての活動。巨大なミューラルの制作や定期的にシルクスクリーンプリントや作品を発表するなど、初心忘れずというところでしょうか。これからもストリートアーティストとしてのシェパード・フェアリーに注目していきたいですね。

シェパード・フェアリーのおすすめ本はこちら↓

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