ストリートアーティスト vol.1「BANKSY(バンクシー)」とは

これまでの記事でも何度かBanksy(バンクシー)について触れてきました。名前は聞いたことあるけど、彼が一体何者なのか知らない方も多いのではないでしょうか。今やストリートアート界のみならず、世界中の人々から注目を集めるアーティストとなりましたが、名前や年齢などの正式なプロフィールは一切公開されていない、未だ謎に包まれているストリートアーティスト。今回はそんな世界一有名なストリートアーティストBanksyについてご紹介していきたいと思います。

Banksyの作風について

彼の作品の特徴は何と言ってもブラックなユーモアたっぷりの社会風刺。ただ、無下に人を非難している訳ではなく、現代社会に溢れている闇を炙り出し、私たちが知らない、もしくは知らないふりをしている事件やニュースをテーマにしています。私たちの生活に警鐘を鳴らす皮肉を込めた強いメッセージ性が、人々を強く惹きつけているのでしょう。違法で街の壁面に作品を描くことが正しいという訳ではありませんが、作品と向き合った瞬間、そのメッセージにどこか腑に落ちている自分がいるのかもしれませんね。

そしてこちらのバンクシーのミューラル(壁画)はオークションでも75万ポンド(約1億1,500万円)で落札されており、落書きの域を超えたアート作品。何が落書きで何がアートなのか、その境界線を決めるのはもはや困難です。

Banksyのこれまでの軌跡 part.1

バンクシーは1990年〜1994年にかけて、イギリスのブリストルでグラフィティーアーティストとして活動を始めました。当時ブリストルのストリートアートシーンで活躍していたNick Walker(ニック・ウォーカー)3Dといったアーティスト達から大きな影響を受けています。

そしてこの頃、後に彼のエージェントとなる写真家Steve Lazaridesと出会います。それまではフリーハンドのグラフィティアーティストとして活動していたバンクシーですが、2000年までには現在のステンシル(あらかじめ型紙を作成し、その上からペイントする)のスタイルへと変わっていきました。

彼の作品はもちろん街中の壁にイリーガルで描かれます。警察に捕まるリスクを少しでも減らすため、すぐに仕上げることができるステンシルという技法が必然的に増えていきました。今ではそのステンシルアートがバンクシー作品の代名詞にもなっていますね。

Banksyのこれまでの軌跡 part.2

2000年に入り、LAやロンドン、シドニーなど世界各国で展示を開催し、徐々に彼の知名度は上がっていきます。

2004年には、エリザベス女王がモデルとして描かれている10ポンド紙幣の顔を故ダイアナ妃に差し替えた偽札を作ります。
ポンドを発行している「Bank of England(イギリス銀行)」ならぬ「Banksy of England」として、ノッティングヒルのカーニバルに参加する大勢の群衆の前で大量にバラまきました。その精巧さから、実際にショップで使おうとした人々もいるようです。後にeBayなどのオークションサイトで1枚約200ポンドの値をつけることになります。

2005年にはMoMA、ブルックリン美術館、メトロポリタン美術館、アメリカ自然史博物館、大英博物館、テート・ブリテンなどに勝手に作品を展示。あまり来場者が来ないような展示スペースの一角にキャプションを添えてこっそりと作品を展示しました。「芸術テロリスト」の名にふさわしい?大胆な行動です。その後、大英博物館はその作品を正式にミュージアムコレクションに加えることなりますが、なんともイギリスらしい対応ですね。日本なら確実に処分されてしまったでしょう…

さらに、2006年にはLAの巨大な倉庫で「Barely Legal」という3日間限定の展覧会を開催。連日長蛇の列ができるほどの大好評を博し、バンクシーという名は一気に世界に広まっていくことになります。その後、歌手のクリスティーナ・アギレラが作品を購入したり、Sotheby’sオークションでも高値で競り落とされるなど、アートマーケットでもバンクシーの作品が注目されるようになっていきます。

その後もパレスチナやベツレヘムなどの戦地を含め、世界中にミューラル(壁画)を残し、バンクシーらしい皮肉を込めたメッセージを世界に投げかけます。これぞ彼のアート活動の真骨頂とも言えるでしょう。

そして、2008年には自身が生まれ育ったブリストルにて「Banksy VS Bristol Museum」という展覧会を開催し、故郷に凱旋。78点の新作を含む約100点もの作品を展示し、総動員数は30万人を越し、大盛況の中幕を閉じました。

Banksyのこれまでの軌跡 part.3

2010年になると、日本でもバンクシーの名前を聞くようになります。そのきっかけとなったのが彼が監督となり指揮をとった映画「Exit Through the Gift Shop」でしょう。


フランス人Thierry Guettaがカメラマンとなりストリートアーティストを追いかけていくうちに、自分自身がアーティストMr.Brainwash(ミスター・ブレインウォッシュ)として活動していくというストーリー。映画にはもちろんバンクシーも登場しますが、これをきっかけにMr.Brainwashはアーティストとして大きな成功を納めることになります。

2013年には記憶にも新しいNYでのストリートアートプロジェクト「Better Out Than in」。その名の通り、室内よりも屋外で作品を残した方が良いというストリートアーティストへのメッセージ。

街の至る所で毎日作品を残し、連日多くのファンが彼の作品を見るつけるためにNYを駆け回りました。その様子は後に「Banksy Does New York(バンクシー・ダズ・ニューヨーク)」というドキュメンタリー映画として公開されています。ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

そして、近年で一番のプロジェクトとも言えるのが2015年に開催された「Dismaland」。

みなさんご存知のDisnyland(ディズニーランド)を文字っており、「子供向きじゃないファミリーテーマパーク」として社会風刺たっぷりのダークな遊園地を約1ヶ月間オープン。ちなみに「dismal」とは英語で「憂鬱な」「もの寂しい」という意味です。

バンクシーの作品はもちろん、Damien Hirst(ダミアン・ハースト)やJenny Holzer(ジェニー・ホルツァー)といった大物現代アーティストも参加し、15万人もの来場数を記録しました。

BANKSYの本名とその正体は!?

バンクシーはプロフィールなどこれまで全く明かしていませんが、イギリスの新聞社ガーディアンによると本名は「Robert Banks(ロバート・バンクス)」、生まれた年は1974年と発表しています。また、イギリス国営放送のBBCは「Robin Banks(ロビン・バンクス)」と伝えています。

しかし、2008年になり、彼の本名は「Robert Gunningham(ロバート・カニンガム)」ではないかという報道が出ました。様々な噂がありますが、彼がイギリスのブリストル出身であるということだけは間違いなさそうです。

最近ではあるイギリス人ジャーナリストが、UKバンド「Massive Attack」のメンバーの一人、3D こと「Robert Del Naja」がバンクシー本人なのではないか。と報じていますが、個人的には違うのではないかと思っています。
これまでの動向を見ても、バンクシー本人だけでは出来ないような大掛かりなプロジェクトも行なってきているので、チームとして活動している可能性は高そうです。
また、3Dはミュージシャンになる前はストリートアーティストとして活動し、バンクシーも彼の作品から影響を受けたと語っています。しかし、バンクシーが Massive Attack のアートワークを手がけ、彼らと接点はあるとはいえ、3D もしくは Massive Attack がバンクシーだという確証はなく、未だに真相は謎だらけです。

Lazaridesとともに立ち上げたPest Controlとは?

ちょっとここでマニアックな話を。
現在、Laz Incとしてロンドンに「Lazarides」や「Banksy Print Gallery(旧Lazarides Editions)」というギャラリーを構える元バンクシーのエージェントSteve Lazaridesは、前述にあるように元々は写真家とし活動していました。

しかし、2009年、バンクシーとともに彼の作品の正式な販売元となる「Pest Control」を立ち上げます。これはコレクターにとっても非常に重要な存在となります。
なぜかというと、知名度が上がるにつれて必ず「ニセモノ」が登場してくるからです。つまり、Pest Controlが発行する作品の「COA(証明書)」が付いてくる作品は本物ですよ。と保証してくれる訳です。今ではヤフオクなどでもバンクシーのプリント作品などが出回っていますが、もし購入する場合も必ず「COA」が付いてくるか確認しましょう。

といってもBanksy Print Galleryを含め、現在でもCOA付きのバンクシー作品を購入することは簡単です…
が非常に高いのが現実です。シルクスクリーンプリント(エディションナンバー入り)はバンクシー本人のサインなしでも絵柄によっては100万円前後はくだらないです。法外な値段で売っているところもありますが、安すぎても恐らくそれはニセモノ。購入の際はくれぐれもご注意ください。

近年話題となっている移民問題や…

スマホ社会など、様々なテーマを題材に彼はミューラルを残し続けています。

これだけ大々的に活動しながらも、未だに謎めいているバンクシーですが、やはりどのアーティストよりも常に一歩先に進んでいる気がします。絶妙な社会風刺のセンスとプロモーションの巧みさは、やはりバンクシーをリーダーとした優秀なチームで行動していると考えられるのではないでしょうか。次にバンクシーがどんな方法で私たちを驚かせてくれるのか、楽しみに待ちましょう。

バンクシーの映画をまだご覧になっていない方はぜひチェックしてみてください

バンクシーのおすすめブックはこちら↓

ロンドンのおすすめギャラリー&美術館MAPはこちら↓

LONDON
ロンドンのおすすめギャラリー&美術館MAP mapp.data.push( {"mapid":"2","width":"100%","...
トップへ戻る